第86話「我が家のルール」  @百物語2011本編

著:匿名希望  


306 :ゆあ ◆96j0kyRRhEF2 :2011/08/20(土) 03:53:48.68 ID:hPkmSRgw0
匿名希望様

タイトル「我が家のルール」

川霧さんは念願のマイホームを買った。
裏が墓地だったので安く買えたという。

「30年ローンだけどね。」
新居に住む事になり家族で幾つかのルールを作った。
ささやかな抵抗をしたのだが家の中でのタバコは禁止になった。
「二階のベランダで吸えばいいって
嫁さんは言うんだけどさ。下が墓地だから」
なんだか気味が悪かった。
しかし一ヶ月を過ぎた頃には真夜中でも平気で吸えるようになった。
静かな墓地を眺めながらの一服もオツなものだと笑う。
深夜の一時過ぎ、睡眠前の一服を吸おうと
ベランダに出ると和型墓石のてっぺんに誰かが立っていた。
故人をモニュメントした墓?
感心していたら、それが万歳をするように両手を上げた。
全身黒タイツ姿のように見えたという。

人だと分かると今度は少し怖くなった。
真夜中に墓石の上にいる全身黒タイツなんて変態に決まっている。
警察に通報しよう。

突然そいつは墓石の上からポンッと飛び降りた。
ビクッと空中で止まり、今度は左右に勢いよく揺れる。
両手両足をダラリとさせ
首が妙に伸びた黒い人がブランコのように揺れていた。

『夜ベランダに出る事は禁止!』川霧家のルールが増えた。
【完】