第95話「影の歌」 @百物語2011本編
著:BIGGOD ◆FXm8E9Lrd9Ak
題名影の歌
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土曜日の昼間、私は友人のBIGGODとカラオケに来ていた。
「ありがとう〜♪君のことは忘れない……♪」
歌が終了し、点数が表示される。
……82点。
いつもと変わらない。
「はい、次、BIGGODの番だよ」
私はそう言って、BIGGODにマイクを手渡した。
BIGGODは『ありがとう』と言って受け取る。
それと同時に、BIGGODの好きな、ホラー系の曲が流れ始めた。
「私に襲い来る黒い影……♪それは私を殺そうとする……」
「どんなに逃げても追ってきて♪それでも私は逃げ続けるの♪」
BIGGODの声って、綺麗だな。
そんなことを考えているうちに、歌はいよいよクライマックスに差し掛かった。
「とうとう私はあきらめて〜♪私は影に殺サレタ……♪」
ざしゅっ。
狭い部屋の中が、BIGGODの真っ赤な血に染まった。
機械は、BIGGODなどどうでもいいというように
美しいメロディーを流し続けている。
私はただ、呆然と立ち尽くしていた。
『ネエ、アナタハ、ドンナ歌ヲ歌ッテクレルノ?』
どこからか、期待に満ちた声がした。
【完】
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