第2話「母の洗濯機」 @百物語2011本編
著:あかヰほくろ ◆zhUkpZ4lCM
ピピピピピピピ………
ある日いつもの様に洗濯をしていると洗濯機から異音がしたので見に行くと、音が止み、
再び水が入る音がして洗濯を始めた。
私はまた動き出したのでその時は途中で放り出した用事の方が気になり、すぐに戻った。
その日は朝から晴れて暑い日だったので、たまった洗濯物を一気に片付けようと思い、
私は2回目の洗濯を始めた。そしてまた洗濯が終わる頃にピピピピピピピ………。
結局1回目の洗濯は合計3回もすすぎをした事になってしまったけど、2回目はすすぎ
は1回でいいやと思い、音が鳴りやんで再び水が入る時に停止しようと洗濯機のフタを
開けた。
すると思いに反して水が溜まっていたので「あれ?」と思い脱水のボタンを押した。
…そういえばこの洗濯機ももう5年以上使ってるし、すすぎのみの選択も出来なくなって
るし、もう寿命か…と思うと同時に前に使っていた洗濯機が壊れた時の状況が思い
出された。
…母の葬式が済んで家に帰り、洗濯をしようとしてフタを開けたら
水が溜まっていた時の事を…
あの時とまるで同じだな…と思い、ふとカレンダーを見るともうすぐお盆。
「Aちゃん、たまには遊びにおいで」母の声が聞こえた気がして、今年は早めにお墓参り
に行こうと思う夏の日だった。
「完」
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