第21話「人形供養」  @百物語2011本編

著:仏師 ◆/g.//wsKSn4B  


85 :代理投稿 ◆96j0kyRRhEF2 :2011/08/19(金) 22:24:15.04 ID:pJf+sL8/0
仏師 ◆/g.//wsKSn4B様

人形供養
 
身寄りのない叔母が亡くなり、唯一の親族である私の実家で葬式を出した後に、叔母の遺品を整理していたら
古い日本人形を見つけた。古いわりには手入れをしていたらしく、痛みが見えない。
形見分けでもないが、私がその人形を貰うことになった。だが、婿養子の彼が「気味が悪い」と
いいだし渋々、離れにある土蔵に収納して四十九日が過ぎた頃。
深夜になると壁に何かを、ぶつけてる音が聞こえてくる。さすがに三日三晩続いたのに業を煮やし
彼と音のする方に行ってみた。
 やはり土蔵の中からで かすかに、童謡も聞こえるではないか。。。
京都では有名な丸竹夷(まるたけえびす)といって子供が覚えやすい歌詞である。
懐かしいと思いながら、ぶつかる音は手毬だと判明したが鍵を開ける勇気もなく
翌朝に神社の方に相談し引き取ってもらうことにした。
 住職曰く「叔母が生前より寂しい時に話しかけたり、遊んでいた」想いの入った人形であり。
念が強いので、護摩木で箱をつくりその中に納め、封し、御炊き上げをする。と。
 当日、他の人形と共に焼かれる最中に、怪異が起きた・・・箱が動く?正確には暴れているとの
表現が正しいだろうか。ゴトゴトッ!ギギギ!ガリガリガリッ!そして弱々しい歌声で
丸竹夷を!・・・なんだか悲しくなって自然と泣いている私が「お人形さんを叔母さんへ送ります」と
ポツリと発したらその振動は収まり、わらべ歌も聞こえなくなっていった。

              完