第26話「無題」  @百物語2011本編

著:赤目  


103 :代理投稿 ◆96j0kyRRhEF2 :2011/08/19(金) 22:56:56.36 ID:pJf+sL8/0
赤目様

僕が二十歳ごろの話です。

とあるホテルだか旅館に泊まったときの話です。
ホテルに泊まると霊が出てきてという話は時々聞くと思うのですが、
そのホテルで寝ていたら金縛りにあったのです。
高校生から眠りに落ちるときに時々金縛りになることがありました。
ところが、眠った後で金縛りになったのは初めてでした。
「嫌だなー。」「まさか幽霊なんて出ないよなー。」と思いながらいたら、
胸の上あたりに重いものを感じました。
そうしたら、首を絞められるような感じがあったのです。
息が出来ない、胸の圧迫感もありかなり驚きました。
しかし体は動かないのでどうしようもありません。
しかし頭では幽霊が出たのをある程度冷静に考えていました。
そうして冷静に考えた頭ではじき出した答えは、
「この幽霊は何もしていない僕に危害を加えている。僕はホテル代も払っている。
何も不法侵入したわけではない。ということはこの幽霊は僕に悪意をもって首を絞めているんだ。
八つ当たりにしては理不尽すぎる!」
とそんなことを考え出た答えは恐怖の感情より、怒りの感情でした。
それでも首を絞められていることには変わりはない。
とりあえず首を絞めている手を払わなくてはいけない。
腕を動かそうとしても動かない。
それでも強引に腕を動かそうとしたら、自分の幽霊のような腕がぬるりと体から抜け出した!
そのまま首を絞めている腕をつかむと思いっきり掴んだ。
そのころ僕は柔道と合気道をしていたため腕力もそれなりにあったと思う。
握力に任せて幽霊の腕を逆に締め上げていく。
締め上げていくと首の圧力がどんどん軽くなっていく。





104 :代理投稿 ◆96j0kyRRhEF2 :2011/08/19(金) 22:57:37.68 ID:pJf+sL8/0
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首の圧力がなくなった時に思いっきり足元に投げつけたら、
入り口と部屋を仕切っているふすまがガタガタって音を出していた。
そこで気がついたら朝でした。
昨日のことを思い出してふすまを見たら、昨日は締めて寝たはずのふすまが5センチぐらい開いていました。


合気道の先生は神道の神主もしていて、幽霊に合ったときの話や神様の話といろいろ話していたことがありました。
人間は恐怖に飲まれると人間の本来持っている力を出せなくなる。
緊張や恐怖にあったとき落ち着いて対処すれば助かることもあり、冷静になれって話ていました。
今回体験した幽霊の話はそんな先生の話があったから何事もなかったことでした。

【完】