第27話「夏の夜、こびりついてきえない、とある悪夢、わたしの悪夢、そのスケッチ」  @百物語2011本編

著:怪獣の子供 ◆dxakKNa1zM  


106 :怪獣の子供 ◆dxakKNa1zM :2011/08/19(金) 22:59:27.89 ID:k+LLH6dU0
『夏の夜、こびりついてきえない、とある悪夢、わたしの悪夢、そのスケッチ』(1/1)
黄金色 開けしところ
篠笛(しのぶえ)に 鼓のさざめき
十二単の 行灯に
畳の露は きらきらと
星降る店(たな)より 甘き蜜
らむね わたがし たまごやき
紫を 透かして見える
ほどけし結いは 地獄絵図
影法師 ガマの口にて
—めんめんめくらの お嬢ちゃん   星の祝いに ひとりとは
  七つの姫の やぶの宮へと —
赤き灯(とも)りに 天邪鬼
天邪鬼
まよいさまよい お面屋の
袖の限りの 雀の銭で 
買いたる面は のっぺらぼう
のっぺらぼう
鮮衣(せんえ)の花 一面に
緑にピンク 紫の紅(べに)べったりと
さけんばかりに
さけんばかりに
大空を
飲まんほどに
迷いの宮 抜けし刻には
かささぎの夜も 更けつつあらん
急ぎ安寿(あんじゅ)が 浮かべし面は
 天を睨み
墨の流れに 消えゆかん
星に照る 兄様の顔
番(つがい)の別れを 恨み呪わん
天の鏡に 【終わり】