第30話「ロッカーの上に・・・」  @百物語2011本編

著:みゅ雨 ◆ycuS0GXjHE  


120 :みゅ雨 ◆ycuS0GXjHE :2011/08/19(金) 23:21:00.27 ID:3gJX/ByM0
『ロッカーの上に・・・』1/2

これは、私が、とある大学病院の内科で看護師をしていたときのお話です。

受け持ちだった寝たきりのおばあちゃん。
少し、痴呆もあり、コミュニケーションもなかなかとれず
お話もほとんどされなかったのですが、
ある夜勤の日、巡回にいくと、

なにやらモゴモゴと話したそうにしていました。

「どうしたの?何か用があるのかな?」
「ねぇねぇ、看護婦さん、、あそこの。。」
「ん?あそこ?」

おばあちゃんが指をさしたのは、病室のロッカー。
なんの変哲もない、普通のグレーのロッカー、天井と上部と30cmくらいの隙。

121 :みゅ雨 ◆ycuS0GXjHE :2011/08/19(金) 23:24:48.60 ID:3gJX/ByM0
すみません、3ページまであります;;

2/3

「ロッカー?ロッカーがどうしたの?」
「あそこの上ね・・」

「あそこの上に人が寝てるけど、あれ、いいの?」

ふだん、なにを言ってるかよくわかりにくいおばあちゃんが
このとき、ハッキリとそう言いました。
勿論、そんなところに誰かいるはずもありません。

そのとき、何故だか、一瞬で全身に鳥肌がたちました。

それから、ほどなくしておばあちゃんは亡くなられました。


129 :みゅ雨 ◆ycuS0GXjHE :2011/08/19(金) 23:37:51.88 ID:3gJX/ByM0
 3/4

ただ、おばあちゃんに関しては、痴呆が少しあったのもあるので
そこまでだと、もしや痴呆のせいではという疑いもあったのですが、、
この話には後日談があります。

私の勤務する内科病棟はおもに、白血病などの疾患を扱う病棟だったため
若い患者さんも多かったのです。

その時期、スタッフの間で俄に噂になっていたのが、
ロッカーの話。
死期の近い患者さんは、ロッカーの上に生首がならんでいるとか
よく訴えられたのです。。。


130 :みゅ雨 ◆ycuS0GXjHE :2011/08/19(金) 23:41:05.14 ID:3gJX/ByM0
4/4

しかし、痴呆もない、若い末期の患者さんです。。

その幻覚?を見た患者さんたちは、
たいてい、数日で亡くなられてしまうことが多く・・・・・・・

ロッカーの上にいた、人物?とはいったいなんだったのでしょうか。・・・・・・・

≪完≫