第30話「ロッカーの上に・・・」 @百物語2011本編
著:みゅ雨 ◆ycuS0GXjHE
これは、私が、とある大学病院の内科で看護師をしていたときのお話です。
受け持ちだった寝たきりのおばあちゃん。
少し、痴呆もあり、コミュニケーションもなかなかとれず
お話もほとんどされなかったのですが、
ある夜勤の日、巡回にいくと、
なにやらモゴモゴと話したそうにしていました。
「どうしたの?何か用があるのかな?」
「ねぇねぇ、看護婦さん、、あそこの。。」
「ん?あそこ?」
おばあちゃんが指をさしたのは、病室のロッカー。
なんの変哲もない、普通のグレーのロッカー、天井と上部と30cmくらいの隙。
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「ロッカー?ロッカーがどうしたの?」
「あそこの上ね・・」
「あそこの上に人が寝てるけど、あれ、いいの?」
ふだん、なにを言ってるかよくわかりにくいおばあちゃんが
このとき、ハッキリとそう言いました。
勿論、そんなところに誰かいるはずもありません。
そのとき、何故だか、一瞬で全身に鳥肌がたちました。
それから、ほどなくしておばあちゃんは亡くなられました。
ただ、おばあちゃんに関しては、痴呆が少しあったのもあるので
そこまでだと、もしや痴呆のせいではという疑いもあったのですが、、
この話には後日談があります。
私の勤務する内科病棟はおもに、白血病などの疾患を扱う病棟だったため
若い患者さんも多かったのです。
その時期、スタッフの間で俄に噂になっていたのが、
ロッカーの話。
死期の近い患者さんは、ロッカーの上に生首がならんでいるとか
よく訴えられたのです。。。
しかし、痴呆もない、若い末期の患者さんです。。
その幻覚?を見た患者さんたちは、
たいてい、数日で亡くなられてしまうことが多く・・・・・・・
ロッカーの上にいた、人物?とはいったいなんだったのでしょうか。・・・・・・・
≪完≫
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