第45話「山の寺にて」  @百物語2011本編

著:みそ ◆bJiVr4F5Ag  


179 :代理投稿 ◆96j0kyRRhEF2 :2011/08/20(土) 00:45:40.03 ID:hPkmSRgw0
みそ ◆bJiVr4F5Ag様

第45話

山の寺にて

数年前のことです。
私はその昔、小学校で遠足に行った、山の中にある七不思議のあるお寺へ行くことになりました。
20数年ぶりに見るお寺は、前より寂れているようにも感じました。
しかし、思い出しながら七つ見て、懐かしいねと楽しみました。
一通り見ましたが帰るには時間も早いので、戻って買いものでもしようと言うことになりました。
と、友人が靴ひもが解けたので先に行ってと言いました。先に行くのも何なので、少し進んだ所で待つことにしたのですが。

「おい、おい」

肩の後ろではっきりと、低い男の声が聞こえました。
私(ん?呼んだ??)
友人の声ではなかったので私の事とは思えず、疑問に思いながらも無視しました。
丁度七不思議のひとつ、開かずのトイレの前でのこと。そこからつい目をそらしました。

間もなく友人もきて、男の人が居たか聞いてみたのですが、いないよとの事。
そして突然鳴きだす多くの鴉の声。
私はうすら寒くなって、友人の手を引っ張り、急いで車に乗り出ました。
帰宅後、祖父にその話をした所。
「返事しないでよかったなぁ。答えたら天狗か何かにでも連れてかれたんじゃねえかな。
知らねえ奴に呼ばれたら変事すんなって、教えといてよかったなぁ。」
霊感の無い私が体験した、唯一の不思議な体験です。(完)