第47話「先生に聞いた話し その2」  @百物語2011本編

著:4コ卵 ◆hcYOhjUtjg  


186 :4コ卵 ◆hcYOhjUtjg :2011/08/20(土) 00:57:00.09 ID:TPh0jBLo0
第47話 【先生に聞いた話し その2】

高校の先生が大学時代に住んでいた『出る』アパートには、それを承知で安い家賃のために
住み続けている学生もいました。
先生の先輩Aさんもその一人だったそうです。

ある日、Aさんの彼女が部屋に遊びに来ました。
こたつを挟んで向い合い、彼女はベランダを背にして座り、しばらくおしゃべりをしていましたが、
ふいに彼女が背後を振り返り、また前を向いてちょっと首を傾げました。
その後もしきりに背後のベランダを気にしています。

「何?どうかした?」
「ううん…」
彼女は暫く黙り込みましたが、突然立ち上がって猛スピードでA君の傍に寄って来たそうです。

「A君の後ろの、その食器棚のガラスに人の姿が映ってたの。
ベランダに誰かいると思ってびっくりして振り返るんだけど誰もいなくて…。
見間違いかと思って前を向くとやっぱりまだガラスに映ってて…逃げようと思ったけど怖くて動けなくて…。
ようやく消えたから、急いで逃げて来たんだよ!
外に立ってたのって、ひょっとして…アレ!?」

「ああ、あれ……外じゃなくて、中だから」

それっきりその彼女には、フラれたそうです。

ちなみにAさんの部屋には、入居前からあっちこっちにお札が貼られていたそうですが、そんなものは
全く無視して、トイレだの風呂だのにしょっちゅう怪しい人影が出没していたそうです。
Aさんは
「別に何かして来るわけじゃないから放っておいても大丈夫だよ」
とまるで気にせず、結局卒業までその部屋に居たのだとか。  -おわり-