第54話「猫のお迎え」  @百物語2011本編

著:半兵衛 ◆B/.3uvv0Gk  


210 :代理投稿 ◆96j0kyRRhEF2 :2011/08/20(土) 01:36:51.38 ID:hPkmSRgw0
半兵衛 ◆B/.3uvv0Gk 1様

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【題目】猫のお迎え
ある時、我が家の庭にきれいな三毛猫が迷いこんできました。
どうやら、おなかが大きいようでした。
当初、祖母は飼うことに反対しました。
しかし、特に猫好きであった祖父が自分の部屋で飼い始めてしまいました。
猫は赤ちゃんを数匹生みました。
親猫と、貰われての見付からなかったメスの一匹を飼うことにしました。
いざ飼い始めれば、家族皆で猫達を可愛がりましたし、猫達も良くなつきました。
親猫はあまり鳴きませんでしたが、娘の猫は事あるごとに良く鳴いたことを覚えています。
十数年が経ち、親猫が死に、それから数年後に娘の猫も死にました。
親子猫とも十分に寿命であった思います。
それからしばらく経って、祖父が亡くなりました。
祖父の遺体は、お寺での通夜までの間、家の仏壇間に安置されました。
夜、私は仏壇間の隣の部屋で蝋燭の番をしていました。


211 :代理投稿 ◆96j0kyRRhEF2 :2011/08/20(土) 01:38:08.15 ID:hPkmSRgw0
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うとうとしていましたが、小さい影のようなものが仏壇間に入ったように感じられました。
こっそり覗いてみると、一匹の猫が祖父の枕元で座っていました。
すぐに消えてしまいましたが、体の模様が三毛であったように思います。
その後、あまり間を置かず、祖母が急病で他界しました。
祖父と同じように、遺体はしばらく家の仏壇間に安置され、夜になって私は蝋燭の番をしていました。
すると、また小さい影のようなものが仏壇間に入ったように感じられました。
そのときに、祖父の時にも同じことがあったことを思いだしました。
そっと、様子を見てみると、一匹の猫が祖母の枕元で座りました。。
体の模様は薄ぼんやりしていて良く見えませんでしたが、一言鳴いて消えてしまいした。
祖母は当初、猫を飼うことに反対していましたが、後年、ペットは死なれると悲しいからと言うのを思い出しました。
自分達を飼い始めたてくれた祖父と、実質的には面倒を見ていた祖母に対して、
親猫と娘の猫がそれぞれに迎えに来てくれたのだと思っています。(終わり)