第9話「村の鎮守の・・・」 @百物語2011本編
著:メタルスライム ◆LuWpVnhAYs
私が住む村は南北に細長く、南端と北端にそれぞれ小さな神社があります
南端にあるのが『火の神様』 北端にあるのが『水の神様』が祀られているとされています
いわゆる「村の鎮守」とでも言いましょうか・・・
そして毎年小正月の「さいのかみ」(どんと焼きとも言われますが・・・)は
必ず『火の神様』が祀られている南端にある神社の近くで行うのが慣わしとなっています
実は今から30年ほど前、一度だけその場所を変えたことがあります。
その頃から村の北側が開発されて分譲住宅がいくつか出来てきたことにより北側に住む人が急増したのです
その住人の多くから「さいのかみ」の場所をもっと北側に移動させるように要望が出るようになり
多数決で北側へと移動することになったのです
その年、村では異常事態が発生しました
数十年、まったく火事が起きていなかった村内で半年あまりのあいだに
4件の火災が立て続けに起きたのです
ある家はタバコの不始末で、ある家はてんぷら鍋から
またある家では神棚に燈したろうそくの火が榊に引火して燃え広がったり・・・・
翌年「さいのかみ」はまたもとの場所に戻すことになりました
それから約30年、村内での住宅火災は1件も起きていません・・・・・
【終わり】
次