第90話「足」 @百物語2011本編
著:たったかた〜
[足]
ある女性が深夜帰宅するために、人通りの少ない道を歩いていた。
その女性はハイヒールを履いていたため、ひっそりとした道に足音だけが
リズムよく響いていた。
すぐそこに曲がり角がうっすらと街灯に照らされていた。
「そこを曲れば家まであと少しだから」女性は独り言を呟いた。
その角を曲ったとたん足元に違和感を感じた。
それに今まで響いていた足音も消え、何かフカフカしたものの上を歩いているよ
うだった。
女性は足を止め、自分の足元を見た。
薄明かりの中で目をこらすと、女性は悲鳴にもならない声を上げた。
何とそこには気味の悪い笑みを浮かべた男が、女性の靴を下から掴んでいた。
【完】
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