第90話「足」  @百物語2011本編

著:たったかた〜  


316 :代理投稿 ◆96j0kyRRhEF2 :2011/08/20(土) 04:06:56.71 ID:hPkmSRgw0
たったかた〜様

[足]

ある女性が深夜帰宅するために、人通りの少ない道を歩いていた。
その女性はハイヒールを履いていたため、ひっそりとした道に足音だけが
リズムよく響いていた。
すぐそこに曲がり角がうっすらと街灯に照らされていた。
「そこを曲れば家まであと少しだから」女性は独り言を呟いた。
その角を曲ったとたん足元に違和感を感じた。
それに今まで響いていた足音も消え、何かフカフカしたものの上を歩いているよ
うだった。
女性は足を止め、自分の足元を見た。
薄明かりの中で目をこらすと、女性は悲鳴にもならない声を上げた。
何とそこには気味の悪い笑みを浮かべた男が、女性の靴を下から掴んでいた。



【完】